*本稿で言う「ワープロ」は「ワープロ専用機」でなく、パソコンで動くワープロソフトのことです。
筆者がいかに「ワープロ専用機」を嫌悪しているかについては、またの機会に。
むかし世話になった人から、電話がかかってきました。「パソコンで原稿用紙を打ちたい」といいます。
「君の年賀状に『パソコンで困ったら、遠慮なく連絡を下さい』と書いてあったから」とも。そう言えば、そんなことを書いた覚えがあるなあ。
ちょっと警戒する。「パソコンで原稿用紙」という文言からは、次のパターンが想定されます。
1.市販の原稿用紙にマス目を揃えてワープロ文書を印字したい。
2.ワープロ文書を原稿用紙の体裁で印字したい。
3.まっさらの原稿用紙をパソコンで印刷したい。
以上、難易度の高い順に並べてみました。
1.は面倒なので絶対やりたくありません。
2.は説明が大変ですが、何とかなる。
3.はネットで検索すれば、フリーウェアがあるだろう。
先方の要望は2.だったので、少し安心しました。
MS-Word 2002を使っているそうで、検索で適当なサイトを見つけ、メールでURLを送りました。
これで一件落着と思ったら、また電話。原稿用紙ウィザードで可能だが、途中でインストール媒体を要求されたので断念したといいます。Wordがパソコンにプリインストールされていても、媒体は付いてたはずだがなあ。
「それじゃWordでは無理ですな」
「息子のパソコンには『一太郎』が入ってるんだが、これをダウンロードして使えるだろうか」
「それはダウンロードじゃなくて、インストールですよね。そういうことをしてはいけません。フォン・ノイマンのたたりがあります」
方針変更。同じサイトに説明があるので、「Open Office.orgのWriteをダウンロードしてインストールして下さい」と言いました。「永遠の初心者」にフリーソフトなんか教えてよいのだろうか。私も使ったことないのに。
それっきりで連絡がありませんが、うまく行ったのだろうか。
少し気になったこと。
「出版社からメールに添付して原稿用紙を送ってくるんだが、これが社名入りなんで使えないんだ」と。
定年退職後、趣味で遺跡の発掘をしているそうなので、その関係で原稿の依頼があるんだろうか。昔だったら「これに書いてください」と、束になった原稿用紙を寄こすところだけど、今の出版社はそんなことをするのかな。
でもこれ、出版社は「原稿用紙を印字して手書きしてね」というつもりでしょう。執筆者の環境は千差万別だから、フォーマットを送りつけても使えるかどうかわからないし、メールで原稿のやりとりをするなら、テキストファイルがいちばん。そのまま製版に回せるし。
前に聞いた話ですが、小説などの公募の場合、原稿用紙にワープロ印字した(1のパターン)原稿は嫌われるんだそうです。誰が嫌うかというと、選考委員。「手書きと違ってマスの中の文字が小さく、間延びして読みづらい」というのがその理由。こういうときは、文字数と行数を応募要項に合わせれば、罫線は要らないようです。応募する人は気をつけましょう。
ではまた。
コメント